【お金を無駄にしない3つの考え方】ECを始める前に知っておきたい #2

わたしはECのシステム会社で働いていて、そのあと実際に自分のECサイトの運営をしていました。トータルで18年かけて出た結論をここで率直にお話したいと思います。

おそらくこれを知ってるのと知らないのとでは、年間にして数百万、という単位での損失もしくは利益の差が出てしまうんじゃないかと思います。

1 小さくはじめて大きく育てる
2 いま大手企業より個人が有利
3 商品を売ってはいけない

1 小さくはじめて大きく育てる

結論から言うと、立ち上げのときに何かとお金をかけすぎないと言うことです。こんなことに陥ります。

お金がかかる

取り戻そうと必死になる

結果売れない


A お金がかかる

わたしが会社でECのマーケティングチームで仕事をしていた15年くらい前のころですが、ショップの方から、現状のサイトが全く売れていないという問い合わせがありました。

そういった方からよく聞くと、ショップ制作費用と、あとはモールなどのプラットフォームに出店するなど、数ヶ月分を一括で支払ったりするので、+20万から30万、トータルでやはり100万前後はかかってる方が多い印象です。

さらに、準備期間に数ヶ月、制作期間にまた数ヶ月と、時間をかけたりするのですが、時間はイコールコストでもあるので、実際にプラットフォームに支払う金額以外にこれらの制作コストを膨大にかけたりされているということですね。でも、実際にスタートさせて蓋を開けると1年後に全く売れていないという話を今でもよく聞きます。

この状況って、今も昔も全く変わっていないなあという率直に思うところです。

うまくいかない原因は何か、当時からずっと考えていたのですが、ショップを立ち上げようとするときに、どういうイメージでどういう雰囲気でつくろうかな?と外見ばかりに目を向ける方が多いということです。たしかに、ショップのイメージや外観など考えるのは楽しいですし、わかりやすいところなのですが、初心者が陥りやすいことなんですよね。

そして考えた結果、コンサルティング費用をいただくプランができてから、売上が向上する店舗が増えました。ショップオーナーと一緒に改善をして積み上げていくという方向に向かったということです。

ちなみに、ショップの外観を考えるって、かなり深いことなので。続けてちょっとご説明します。


B お金を取り戻そうと必死になりすぎる

一旦きれいなECサイトができあがりました。ただ、外見も大事ではあるんですが、先に必要なのは、運営プロモーションを考えることです。

実は、ECサイトは、よほど予算の責任が生じている大規模ショップでない限り、立ち上げ準備に半年や数ヶ月かけて考えても無駄なことが多いです。

なぜかというと、はじめたばかりのころは、想定外なことが起こったりします。梱包や配送だけでなく、サポート業務や処理すべきことがたくさんあります。運営しながら考える。のがベターです。

お客様が集まらない!ということで、焦って外観を変えようとしたり、無駄な広告をかけてしまったり、大事なことに目を向けられず、カラ回ることが多いんですよね。


C 結果売れない

カラ回ったり必死さが出てくるとどうしても営業臭い部分が見えたり、お客様にとって「売りつけられてる感」が見え隠れするので、それだけは避けるべきです。当然売れないという話になっちゃいます。

訪れる人にとって使いやすいサイトにしていく、それをトータルで考えられるかがデザインなので、ショップの見た目を整えることだけではないんです。

スタートしたあと、やることはたくさんあるので、まずはすぐに立ち上げて、そのあとお客さまからどうやって関心を寄せられるかに時間や労力をかける。分析もしつつ、改善しながら考えていくこと自体が本質的で、結果的に外観を整えることにつながります。

つまり、

立ち上げはシンプルに、そのあとのプロモーションに総力をあげる

これが大事と言うことです。そしたら、どうするのがいいのか次に説明します。

2 個人に有利な時代

個人が武器になるのは次の2つです。

SNS
機動力とフットワーク

個人事業主もSNSを武器にした宣伝ができる時代になったということです。すごくいい時代になったなと思います。

いま誰でも何かしらのSNSは持っていますよね。LINEはほぼみんな持っていると思いますし、インスタやFacebookなど、とにかく個人が発信できるツールはとってもたくさんあります。

つまり、個人が個人へのコンタクトがとりやすくなったということです。

昔はECサイトを宣伝しようとすると、広告でした。そうすると、潤沢な予算があって、広告費が払える企業しか人を集められず、個人ではなかなか売上をあげることが難しかったのです。

ここ数年でSNSが広がったことで、個人も対等にプロモーション活動することができるようになりました。むしろ大企業を超える影響力すら起こすこともありえます

個人だと何が有利かというと、機動力(何かやろうと思ったとき、すぐに行動に移すこと)があるということです。これは大企業だと上司に稟議を通すための資料作成とか、許可を得ないといけないなど、企画から実行までとにかく工程があって大変ですよね。すぐに実行に移せる、「フットワークが軽い」というのは個人事業の特権です。

商品の宣伝のために、撮影をして、加工してインスタにアップする、ストーリーズにあげる、などすぐにできますし、新鮮でタイムリーな情報を届けられて、よりファンと密なコミュニケーションをとることができます。プロモーションがうまくいくコツでもあります。

3 商品を売ってはいけない

これだけ聞くとなんだ?という感じだと思うんですが、結論から言うと、「商品を売るのではなく、体験を売る」ということです。

いま欲しいものを買いたいとき、Google検索したら出てこない商品はほぼないと言ってもいいです。たくさんいいものが溢れていると言うことです。

逆に言うと、それだけたくさんの商品がある中で、この商品がほしい、となる決定打になるのは何でしょう?

「値段」「品質」「口コミ」

たしかにその全てを比較されて、購入に結びつくのはあっているのですが、それだと品質が均一になってくると、価格競争に巻き込まれることは必至です。

利益が取れなくなったら意味がないです。

わたしの運営していたファッションECサイトの場合、お客様がたとえば「仕事で着ていくための服がほしいけど、毎日同じような服ばかりでしっくりこない。」という悩みがあったとします。ファッションはそれこそ世の中にたくさんおしゃれで品質の良いものが溢れていますし、スタイリングなど迷うと思います。

安くておしゃれなものであれば、ファストファッションが流行しましたので、巷では実際ZARAとかH&Mとか、買いに行けばすぐに手に入りますよね。

でも、わたしのECサイトでもだいたい同じくらいの価格のファストファッションでしたが売れていました。トータルで1億円以上はサイトだけで販売しているのですが、私の場合、コーディネートを売りにしていたんですね。

ワードローブ10選 – UNCLACK

お客様に、”1ヶ月これさえあれば完璧。仕事の着まわしコーデ” などを提案したり、SNSに掲載したりしていました。

毎日発信していったコーディネートのSNSを中心にフォロワーが3.5万人ほどいました。ほとんどがSNS経由で売れていたのですが、コーディネートをみて、インスピレーションを得て、購入するという過程を踏んでいるかたがアクセス解析をみても多かったです。

差別化のポイントが、デザイン性だったり、素材だったりというのは、もうZARAでいいよね、ってなると思うのですが、コーディネートはその発信者の個性で、言葉で作ったものであって、コンテンツなので、それを気に入って買ってくれた方はそのあとも継続してSNSをチェックしてもらえる上に、とても好意的なファンになってもらえます。

コンテンツ力を武器に

これが重要なポイントです。

あと、冒頭でお話したように、売上を追うほど焦って売れなくなるという現象があるのですが、それはコンテンツ力を武器にすると心配が減ります。

なぜかというと、コンテンツは広告と違い、ストックされるものだからです。ブログやSNS、自分の言葉で書いたものはずっと残りますから、それを見た方が定期的に訪れることになりますし、たとえばインスタグラムやTwitterなどでいいねやフォローしてくれた方は、フォロー外さない限りずっとそのあともファンであり続けます。

こちらからコンタクトを取りやすくなり、広告に頼らなくても商品が売れるようになります。支払いが先に発生して、それを取り戻すために必死になるということが少なくなるということですね。

以上、お客様がなにをポイントに買うかという自分の例も踏まえたお話でした。

購入するとどう自分が変わるんだろう?ライフスタイルに変化を起こせるイメージだったり、何かを悩んでいるお客様に対して、どれだけ解決をしてあげられるか、という提案力が強みになるなのかな。と思っています。

実際の言葉って強みなんですよね。

店長さんが商品を作ったり仕入れたり、なぜそれを販売することになったのか、という経緯やストーリーはそのままショップの魅力になります


わたしのおすすめで、このことについても書かれてた本がありましたので、ちょっと最後にご紹介します。ECというよりは未来の小売としての概念的なことを知るのにはいいかもしれないです。

2025年、人は「買い物」をしなくなる
ちょっと衝撃的なタイトルですが、“小売・メーカー・ECで今まさに起きているイノベーションを伝えつつ、「およそ5年後の近未来」を予測”とAmazonの記載にもあるように、デジタル化が進むことで起きている変化についてわかりやすく解説されています。

D2C
いま一度は聞いたとがあるのでないでしょうか?D2C(ダイレクト トゥ コンシューマー)といういみですが、「ストーリーテリング」×「テクノロジードリブン」という概念をまとめた著書。SNSやコンテンツを武器にすることの重要性などが書かれているのでぜひ。

【サイト構築の予算】ECを始める前に知っておきたい #1

ECをはじめたいけれど、経費が一体どのくらいかかるのか?予算が気になるところだと思います。始める前に、どのくらいかかるものかをここではっきりさせましょう。また、それに付随して、目標や商品価格の決め方もご紹介いたします。

1 必要経費を把握する
2 売上目標を決める
3 商品価格を決める

1 必要経費を把握する

一旦ここでは、構築にかかる=初期費用と、運営にかかる=月額費用を分けて考えます。

<構築にかかる費用>

サイト構築
ドメイン費用

ドメイン(.comや、.jpなど)の取得費用が、ドメインによっておよそ年間1,000円から3,000円かかります。

サイト構築や運営をすべて自分で行うのであれば、必要経費0円で始めることだってできます。プロにお任せするか、自分で構築をするか、によって「サイト構築費用」がだいぶ変わりますので、いくつか見積もりを取ってみると良いと思います。


サイト構築の見積もりを依頼できるクラウドソーシングサイト

ミツモア
プロのカメラマンやデザイナー、プログラマへ1回5人まで無料で見積もりを依頼することができます。

ココナラ
スキルを販売するという、すべてオンラインで完結するサービス。対面はNGで、電話も可能ですが、専用の回線経由でのお話など、少し制約があります。大掛かりな依頼には向いていませんが、ちょっとしたバナー作成や、教えて欲しいといったコンサル要望など、スポットで依頼するにはちょうどいい、痒いところに手が届く内容を依頼するといいと思います。

クラウドワークス
有名なのでご存知の方多いと思いますが、個人で活躍するプロのデザイナー、プログラマ、コンサル、フォトグラファーなど多数在籍しているので、発注するとかなりの応募がきます。個人だけでなく、企業の登録も多いので、安心感があると思います。

ランサーズ
こちらもクラウドワークスと比較されることが多いですが、プロに仕事を発注できるサービス。

比較ビズ
発注先を探すというサービスでは他の上記のクラウドアウトソーシングのサービスと同じなのですが、登録している方が少々お硬めな印象。登録する業者は月額費用の支払いが必要なので、信頼感はあるかもしれません。発注者側は無料で依頼ができます。


サイト構築をした後は、運営に必要なサーバー保守や管理を自分で行うか、プロに任せるかでコストの考え方も変わってきます。

<運営にかかる費用>

A 仕入れ
B 広告
C 梱包費
D 配送費用 
E サーバー、保守、管理費用
F 人件費

運営にかかる費用の部分は、商品価格の決め方にも関わりますので、後ほど3の章で詳しくご説明します。

サイトの立ち上げに関しては、EC構築サービスを使用します。全然知識がなかったとしても使い勝手がよく、直感で作成できるよう操作性にも工夫されていて、最近はどのサービスもとても優れています。

現状のサービスの違いを知らないと混乱すると思いますので、EC構築ツール比較表をお見せしながら、次の説明に移ります。

2 売上目標を決める

実は売上の目標月商を決めると、自ずと使用すべきEC構築サービスが決まってきます。BASEなどは有名ですし、月額0円なのでみなさんすぐ思い浮かぶサービスだと思いますが、次の表を見てみてください。

こちらはわたしの講義でよく使用している表なのですが、カート選びの時にまず意識して欲しいのは「目標月商」ということをお伝えしてします。なぜかというと、次の2点によって、運営コストがかなり変わってくるからです。

販売手数料
使える機能の拡張性


まずBASEの販売手数料の欄をご覧ください。販売手数料がプラスで3%かかります。BASE側はその手数料部分で収益を得られている分、月額は0円で提供されています。同じ月額0円で使えるSTORESは販売手数料はかかりませんが、決済手数料が5%となり、機能によって、月額上位プランを設定されています。

3%はたいしたことないのでは?とそのまま使用されている方はご注意ください。仮に月商20万を超えるとこのような計算になります。

月商20万×販売手数料3%=6,000円

つまり、月額6,000円のサービスを使用しているのと同じことになります。他のサービスと比較すると、高機能カートと呼ばれているShopifyとMakeShopの間くらいの位置付けになります。

売上が上がれば上がるほど、このように月額の運営費用が上がるということも意識しておいてください。

もちろん、BASEが気に入って使っている!というのであれば、そのまま使用して構いませんが、やはり使える機能に制限がありますから、途中で違うカートに乗り換えるということも念頭に入れるべきかと思います。その理由ですが、2番目に記載した、「使える機能の拡張性」に関係があります。

BASEは非常に優れたEC構築サービスです。ただし、上記に述べさせていただいた、ビジネスモデル的にも、月商が20万円前後を目指す個人向けサービスと考えても良さそうです。つまり大型店舗には不向きなところがあります。

たとえば、売上が上がり、1日の受注数が増えていくと、CSVで一括処理したい、様々なレポートを抽出したい、在庫管理ができる基幹システムと連携させたい、など、商品データや売上データの管理を中心に機能が物足りなく感じ、カスタマイズが必要になってくると思います。

まだショップをはじめたばかりの頃は想像ができないかもしれませんが、売れていくと、想像以上に毎日の販売処理のための時間や人手がかかり、コストが嵩みます。表の右側にあるようなカートは、それに対応した十分な機能が最初から備わっている、機能の拡張性の高いカートなのです。

結論的には、「売るぞ!」と決めている場合は、最初から機能の拡張性の高いカートを選ぶことをオススメいたします。

BASE
STORES
カラーミーショップ
Shopify
MakeShop

それぞれ特徴がありますので、詳しくはわたしの講義でお伝えすることができますので、興味ある方はぜひのぞいてみてください

ストアカ

三田村 妙子

EC歴18年社長が教えるネットショップ講座

3 商品価格を決める

冒頭のおさらいになるのですが、ここではわかりやすいように、商品1点あたりにかかる販管費を算出し、商品価格を決める方法で行ってみます。また、個人事業主の代表が始める前提ということで、人件費は除いておきます。

A 仕入れ(原価)
B 広告
C 梱包費
D 配送費用
E サーバー、保守、管理費用

売上から上記の原価や販管費を差し引くと、利益が出ます。仮に、アパレルのドレスを1着販売することを想定して、商品1点あたりにかかる費用を算出し、AからEまで足してみることにします。

A 仕入れ(原価) 3,000円

たとえばドレスを自分で作ったのであれば、原価は生地などの材料費になると思います。仕入れを行う場合はある程度最初に費用がかかります。

わたしのパターンのように、海外のメーカーに発注するパターンを想定して、3,000円でドレスを仕入れたと仮定します。

B 広告(商品1点あたりにかかる広告費用)  500円

検索エンジン広告、アフィリエイト広告、SNS広告など、投資した「広告金額」を「売れた数」で割ってみましょう。

広告費用÷販売数=商品1点あたりにかかる広告費用

仮に、5,000円かけて、10着売れたと仮定しますと、500円になります。

もちろん、広告をしなければならないということはなく、たとえば今までカフェや飲食店などで築かれて来たお客様へ自社の商品販売をスタートする場合や、すでにインスタグラムで多数のフォロワーがいる、などであれば大々的な広告費用は必要ないかもしれません。広告は、経営の考え方によりますので、また別途、ご紹介できればと思っています。

C 梱包費用(1点あた)  100円

具体的には、

・商品を包むための透明袋
・ラッピング材
・段ボール
・梱包用の緩衝材(プチプチ)
・梱包用ガムテープ etc

梱包材の購入におすすめは「ストアエキスプレス」や「シモジマオンラインショップ
ラッピング倶楽部」です。参考にしてみてください。実際に手に取ってみてみたいという方は、実店舗もあるのでぜひ足を運んでみてもいいかもしれません。

D 配送費用(1点あたり) 600円

ヤマト運輸や、ゆうパックなど、配送業者にいくつか見積もりを依頼してみましょう。1点あたりどのくらいで配送してくれるか把握できます。

商品の大きさや重さ、配達先の場所よって変わって来ます。

E サーバー、保守、管理費用 0円

サーバーや保守、管理費用代は当初はBase,Storesなどを使う場合は月額0 円でも始められます。サイトの規模に応じて、追加したい機能やシステムのバージョンアップを検討したり、プロのエンジニアを採用するなど、柔軟に考えていくのが良いと思います。

AからE を足してみます。

仕入れ+広告+梱包+配送+サーバー=4,200円

ざっくりとですが、この金額に、利益を乗せると販売価格が決まるイメージです。

販売価格を10,000円にした場合、利益は5,800円になります。

わかりやすいようにご説明させていただきましたが、このAからEを減額させる工夫と努力次第で、利益を上げたり、価格を下げてお客様に還元したりできるということです。


以上、ECを始める前に知っておきたいサイト構築の費用や予算、商品価格の決め方のご説明でした。

わたしがEC業界を経験して思うこと、みなさんよく起こりがちだなと思うのは、販売するためのPRコンテンツを作ったりプロモーションをどうするかを考える前に、外観をどうしよう??と外身の部分ばかり時間をかけたり意識が行きがちです。

正直なところ、ECを構築する段階では、すばやく立ち上げて、そのあと運営の中で改善をはかりつつ、練りながら作っていくことがとても大事です。

サイトのイメージや作るまでのステップでつまずき、いつまでたっても悩み続けて立ち上がらないというのは時間がとてももったいないです。

あと、デザインというのは、そのプロダクトの適した発信方法を踏まえてわかりやすくナビゲーションを形にしていくことを前提に設計していくものなので、なにも外見のことだけを言ってるわけではないんです。

プロに任せる、もしくは自分で行う、いずれの選択にしても、立ち上げた後にやるべきことはとにかく「コンテンツ発信とプロモーション」それにフォーカスすることで自ずとお客様にとってもわかりやすく綺麗なサイトができあがります。

頭がいっぱいにならずにシンプルに考えていきましょう。

飲食店が実店舗以外で収益をあげるための3つの方法


コロナ禍のなか、自粛要請が開けたものの、ここ数ヶ月で日本の街並みも様変わりしました。一方で様々な新たなビジネスモデルを構築する方法も生まれています。今後はECを飲食店が活用することで、売上向上につながるのではないかと期待しています。飲食店の実店舗以外で収益を得る方法をお伝えしたいと思います。

1 クラウドファンディング
2 電子チケット販売(EC)
3 テイクアウト・デリバリー


1 飲食店向けクラウドファンディング

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クラウドファンディングとは、企画をした商品やアイデア、サービスをスタートする前に、プロジェクトとして公開することで、事前にオンラインで資金調達ができるというものです。

一般公募の形式なので、応援してくれる人へ見返り(リターン)に、その商品やサービスを提供します。店舗は、無理のない程度にリターンを決めることができ、販売予測ができたり、レビューを聞けたりもするので、テストマーケティングとして活用するケースも増えています。

https://platform.twitter.com/widgets.js https://platform.twitter.com/widgets.js
<クラウドファンディング(2020.8更新)>

Payf
みらいの食券
CAMPFIRE
Readyfor


返済が必要となる金融機関からの資金調達に比較するとリスクが少なく、いま注目をされていますが、飲食店向けにおすすめのクラウドファンディングサービスがいくつかありますので、CampFireやReadyforなどでも、積極的に特集が企画されています。ぜひチェックしてみてください。


2 電子チケット販売

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コロナの影響もあり、特に5-6月ごろ急激に、飲食店を中心に電子チケット販売を活用する事例が増えたように思います。わたしも自粛要請の当時、チケット販売の方法などを提案し、何社かZoomレクチャーしていました。

電子チケット販売というのは、たとえば飲食店が「10,000円ディナーチケット」を発行し、いつも来てくれる常連さんやお客様にオンライン上で販売するというものです。

チケットは、今すぐに使わなくても、年末までに利用可能、といった利用可能期間を設定することで、お客様はいつでも利用することもできます。10,000円のディナーは少しお得に9,000円で10%割引で買えるなど特典をつけたりもできます。

購入者としては、いつでも好きなタイミングで利用できるチケットをお得に買える、というメリットがあり、店舗側としては、購入されたチケット売り上げ金額がすぐに手元に入るため、当分の資金繰りにすることができます。クラウドファンディングにも近い考え方ではあります。クラウドファンディングの場合は、プラットフォーム側に支払う手数料が割高なので、自分で構築してしまうメリットは大きいです。

https://platform.twitter.com/widgets.js

電子チケットは、購入者はスマホやPCで購入できますが、チケット自体は紙の状態で送られてくるのか、またはスマホにメールで送られてくるのか、サービスによって違ったりします。意外にも知られていない販売方法なので、自社で構築する方法を少しご紹介します。

まず、わたしが使いやすいな、と思っているEC構築サービスの中で、コスト面と操作性を考えて、BASE、STORES、Shopifyの3サービスが優秀で、いずれも電子チケット販売の機能が実装されています。

BASE


国内最大の小規模EC向けのBASEですが、チケット販売という機能自体はないので、普通に物販としてチケットを商品登録して販売する方法になります。
またBASEの場合、下記のガイドラインにあるように、基本的は有形商品の販売が原則なので、電子チケットの場合は紙チケットとして郵送が必要になります。

サービス提供を行ったということを証明できる有形物(※)を、追跡可能な配送方法、もしくは特定記録郵便にて購入者へ必ず送付してください。
※領収書、納品書、紙チケット、お礼状など
BASEは「有形の商品を販売」することに特化しているため、BASEの販売システム及び購入者に自動送信されるメール等も全て、有形物を送付するような内容になっております。(ショップ側で自由にカスタムいただくことはできず、定形となります。)>>ガイドライン

なお、有形ではないけれど、動画や画像、音楽など、ファイル形式で販売するものに関しては、コンテンツ販売という機能が備わっていて、無料で利用が可能です。

STORES


個人的に最もオススメなのはこちらのSTORESです。BASEに比べて知名度は低いものの、2019年末ごろから大幅に機能バージョンアップが図られ、電子チケット販売も無料で利用できるようになっています。
また、BASEと違い、有形じゃない電子チケットをスマホで受け取り、お店や会場に到着した際にスマホを提示して使用できる仕組みになっています。

郵送の手間がないのでショップもお客様にとっても便利ですね。
電子チケットの詳細は下記のSTORESのページをご覧ください。

>>STORESの電子チケット

https://stores.jp/ticket

Shopify


カナダ発のEC構築サービスで、アメリカでは100万店舗を超えました。2017年には日本国内に登場したShopifyですが、2020年急速に普及してきたのはコロナの影響も関係しているかもしれません。日経新聞でも毎週のように特集が組まれて、今後も国内での導入が加速するのではないかと思われます。
Shopifyでのチケット販売ですが、電子チケットという呼び方ではなく“クーポン”と呼んでいます。

例えば交通系のIDやスタバカードのように、あらかじめ設定した金額をチャージするイメージに近く、10,000円のクーポンを購入してから、利用するときは6,000円、4,000円ずつ2回に分けたり、利用金額分減額していく仕組みとなります。この点ではSTORESのような使い切りの仕組みと違い、お客様と継続した付き合いを促し、リピーターや販促の点でも優秀です。

ただし、BASEやSTORESと違い、Shopifyは月額29ドル(カート機能のみのライトプランは9ドル)からの有料サービスですので計画的に利用を考えることをオススメします。

以上、自社クーポンを販売できるサービスのご紹介でした。構築にお悩みの方は、講座を私の方で行なっていますので、ぜひご相談ください。
>> 3時間でその場でネットショップ作って帰れる実戦講座【オンライン可】

3 テイクアウト・デリバリー

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リモートワークなどで外出が減り、ソーシャルディスタンスも加わってお店にお客様をどう宣伝していいものか、悩ましいところです。

営業時間の見直しや、コロナ禍の第2,3波が押し寄せる可能性も考えられるため、店舗の運営自体を見直す店舗も増えてきているようです。

Uber Eatsを筆頭に、デリバリーの利用がメジャーになってきていますので、デリバリー市場の拡大は必須かと思います。ただ、Uber Eatsの販売手数料が30%超えるなど、利益が出ないなどのデメリットもあります。今後ほかのサービスが増えると手数料もどんどん緩和されていくと思います。

もう一つが、リモートワークの影響で、オフィス周辺の飲食店利用が減っているという事実もあります。自宅で仕事となると、やはりデリバリーやテイクアウトの利用も増えていくと考えられます。

先日わたしのTwitterでこちらをつぶやいたのですが、

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カフェなどで仕事をしたいな、というときがあるのですが、まだまだ環境が整っていないなと・・・WiFiが使えるカフェを探すのにも一苦労。逆手をとると、WiFi、会議利用可能などといった環境で店舗がオープンにしていくと、リモートワーカーも好んで利用されるようになる気がしています。少し話が逸れました。

ところで、キッチンシェアリングという言葉ご存知ですか?

同じキッチンシェアリングでも、「セントラルキッチン」「ゴーストキッチン」とも呼ばれているように、店舗やレストランがひとつのキッチンをシェアするという発想もあります。これは1つの大きな厨房を数店や数十店舗が共有するというものです。

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メリットとしては、こちらです。

・店舗を持つことがなく、デリバリーやテイクアウトとしての無店舗型の運営ができる。
・キッチンを共有することで、食材の調達から、製造までひとつの場所で管理されることから、効率的で安定的な品質を提供でき、人的コストが削減できる。

一方で、提供するまでに鮮度が低くなる、店舗の人材の知識がストックされないなどのデメリットもありますが、これから導入が進むことで技術改善が図られていくのではないかと思います。

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さすが中国ではすでに数年前から導入が進んでいるのですが、日本でも流行していくのではと思っています。

ちなみに、GoogleやYahoo!検索でデリバリーが検索しやすくなってきています。生活の一部としてインフラとして整っていく様子なので、準備をされるのには良いタイミングかもしれません。

ヤフー、テイクアウトやデリバリーの情報を35,000店舗以上に拡充
Googleマップに「テイクアウト」「デリバリー」タブ追加、一発検索が可能に

デリバリー・テイクアウトをオンラインで受け付ける方法

デリバリーをオンラインで受けられるようにしたいな、と飲食店さまには、こちらのMakeShopの「ケータリング・デリバリーオプション」で導入できます。配送地域を限定したり、地域別の会員を設定することもできます。

受け取り時間を事前に指定したり、お渡し時間の管理ができる、テイクアウト機能もBASEで導入することができます。


以上、飲食店向けのオンライン化やあたらしいビジネスモデルの紹介でした。どんどん新しい情報が出てきていますので、定期的に公開していけたらと思います。

個人でいまECサイトを立ち上げるべき理由


個人でECを開きたいときですが、みなさんの中で不安があるとしたら、主に下記の3つほどあるかな、と思います。

1 副業でも大丈夫か?
2 知識がないけれど大丈夫か?
3 大手と似たような商品だけどうまくいくのか?

1. 副業するとこんなメリットが

まず1番目のこちらから解説したいと思います。独立されている方は読み飛ばして構わないのですが、会社にいながらにして、副業をするとこれらのメリットがあります

収入源をもうひとつ増やすことで安定した生活の基盤を作ることができます。

会社のストレスが減り、仕事がうまくまわりはじめます。

失敗が許される。予行演習になる

生活の基盤ができるくらい利益がでる前に独立すると、プレッシャーは多少生じるので、予行演習に近い形で副業のスタイルから始められるのをお勧めします。

副業で月に数十万の利益が出るなど、生活が安定するレベルになれば、独立を視野に入れると良いかと思います。なにより、続けることが大事で、そのためには自分の好きなことをするのが一番なのですが、収入が得られないプレッシャーで売ることに必死になることは避けるべきです。

ちなみに私の場合は、会社にいながらにして、趣味のファッションをSNS発信してファンを構築できていました。そういうスタンスや流れの方がうまくいく理由を続けてお話したいと思います。

会社の仕事がうまくいく

それはなぜか、というと、副業を行うことで本業の会社の仕事がうまく回るようになってくるからです。帰ってからはやく発信したい!と思うと無駄な残業を減らすために時間の使い方を考えたりするので、効率がよくなったりします。

あと、会社の仕事にフォーカスして頭が偏り気味になることが多いと思うのですが、会社以外で別の角度から勉強したり身につけた知識が豊富になることで、それらが本業に生かされるということもあります。

わたしが普段ブログで実行していたSNSの発信やPRなどは会社のプロジェクトの役にもたちました。会社でうまくいくと、事業が成功に向かうだけでなく、自分の心の余裕がうまれ、ストレスも軽減します。社内での立ち振る舞いや、コミュニケーションも改善され、報酬もアップするかもしれません。

Photo by Christina Morillo on Pexels.com


ここでひとつ、会社勤めで疲れているのに、さらに副業なんて時間がとれるのか?という単純な疑問もあるかもしれません。ただ、いまは昔に比べてECサイトを作るための構築や運営ツールの利便性が増し、より効率化を図ることができます。

時間的なロスが改善されたことで、会社の終業後にカフェに立ち寄って作業をしたり、週末の時間を活用して、仕事をするのも難しくありません。私の場合は、19時に会社の仕事を終わらせて、帰って2時間くらいの間、ブログでスタイリングを載せたり、本やネットで、ECサイトを立ち上げる前の準備や調べ物をしていました。

2時間でいいの?と思うかもしれませんが、これが本当に毎日続けていたので、1年も経つとある程度形になったりします

あと細かい話では、副業で得られた利益は確定申告でどう申請したらいいのか?といった悩みなどがあるかと思います。最近では副業を禁止されている会社は少なくなってきたと思いますので、そういう不安や悩みは減ったかもしれませんが、そちらに関しては、わたし以外に詳しい方がおられますので、こちらご覧ください。

>>副業で確定申告をしないといけないのはいくらから?(副業の基礎知識)

>>スマホで確定申告(国税局)

わたし個人としては、副業禁止、と会社からいわれていたとしても自分がやりたいことを制限される理由はないと思いますので、あまり気にする必要はないのではと思います。

2 知識がないけれど大丈夫か

ECの概念が登場して20年以上も年月が経ち、これだけ情報量や成功する店舗が増えてきているので、ノウハウに関しては、書籍のほか、それこそGoogle検索でググってもたくさん情報が出ています。豊富な知識を持っている人が、ECの講座など開いています。最近ではZoomなどを使った講座が無料または数千円単位で受けられたりします。

基本的には、スポーツや勉強と同じで、ECに関しても、やり方を学んで、実践して、改善してという繰り返しでどんどん良い方向に形成されていきます。

一方で、知識というのは使い方によってはいい面も悪い面もあります。「成功法則」のような本が世の中に出ていて、それを読んで頭ガチガチにした状態で、よし、始めよう!とされる方もおられます。

でも、仮にですが、たくさん「売れる」ということが成功と呼ぶのか、「知名度があがる」のが成功と呼ぶのかなど、各々で捉え方が変わってきます。正直なところ、成功の法則なんてだれも正しいことを知らないのがECの現状です。ECの運営=オンラインで経営をする ということと同じだと思うのですが、商品や顧客層、オーナーの性格や環境によっても成功が左右されます。現場で起きることに対する柔軟さや、間違ってるかな?ということも思い切って実行する面も大事だったりするのです。それが他店との差別化につながるケースだってあります。

つまり、オーナー自身の思いすべてにマッチした情報や解説をしている本、ネットの情報を探し当てる方が難しいはずです。

いろいろと勉強されるのはよいのですが、全部を鵜呑みにするのではなく、情報を自分なりに読み込み、納得する部分のみ吸収するのがよいです。そしてなるべく、ECの経験者や、自分に近い考えを持っていそうだな?という方の話から学ぶのがベストだと思います。

ちなみに個人的におもしろいなと思った本ですが、D2C(Direct to Consumer)の詳細がまとめられた本があるので、下にリンクを貼っておきます。D2Cは、メーカーが小売店を介さず直接ECなどで自分たちが販売を行う意味で用いられています。メーカー直販に関する事例が豊富なので、あたまの整理として読んでおく価値はあると思います。

3 大手が似たような商品を展開しているといって諦めない。

今の時代、すでに世の中にはたくさんの良い商品があります。昭和の時代は、新しい商品が登場したら飛びついて購入される傾向にありましたが、いまはモノに溢れ、そもそも選ぶことに疲れてしまったり、人の購入意欲自体が削がれているかもしれません。それにだれでも情報が検索できますので、比較も簡単にでき、ショップ側としては価格競争に巻き込まれてしまいます。

ただ、良い商品はいっぱいありますが、実のところ、現代人は、商品を買う目的よりも前に、個人やオーナーの「ストーリー、思い、信頼」があった上で、購入に至ります。

もうすでに世の中にある商品だから、ということも、心配しなくていいと思います。

わたしの例なのですが、ブログとSNSのフォロワーが15,000人を超えた頃、これまで個人ブログで発信していた「コーディネート」を軸にしたECサイトを立ち上げたいなと考えてしました。毎日発信するコーディネートの提案によって、それを見た方が ”購入したい!” というお客様の流れができていました。

ところがECサイト「コーディネートショップ」を立ち上げた頃は、ZARAやH&Mなど、ファストファッションを販売するということは大手ブランドに限られていたように思います。

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私は、日本のZARAにないような、もっと海外風のヴィヴィッドなカラーやデザイン豊かな商品をオンラインで揃えたいと思っていました。それに、コーディネートをコンセプトにしたかったので、自分の個性をブランドとして展開せずに、とにかくあらゆるデザインをサイト上に豊富に並べたかったのです。

ただ、ファッション業界にいたこともなく、販売実績がない上に商品MDの知識もなく、自分の規模では仕入れに限界があり、仕入れできたとしても、在庫が捌けないリスクがありました。

そこで、あえて国内で倉庫を持つことをしないと決め、製造する海外の工場と提携し、その代わり、海外側の在庫の情報を連動させるために100万円ほどの開発投資を行い、30,000点を超える商品をリアルタイムで反映できるようにしました。工場にあるストック分の数量管理なども行うことができます。

そうするとお客様はより豊富な商品をオンライン上で購入することができ、ショップ側は注文が入ってからすぐ工場へ発注し、発送依頼が可能になりました。

結果的にはこのシステム開発により、1億を超える販売額を生むことができました

自賛するわけではないのですが、これはある意味、どこもやっていない特殊な方法かもしれません。わたしの場合は、コーディネートというコンセプトが前提にあり、自社ブランドというこだわりは持たず、どうしても商品を揃えたかったという目標があったので、大手ブランドにはかなわない部分は別の方法で補完し、なんとか個人や小さな会社でもできる方法を模索して実行することができたということです。

こうした方法ですが、真似されたらどうしよう、と不安がる話も聞きますが、そのステージになるのは年商数十億などかなり成功したレベルといってもいいかもしれないです。知名度が伸び、ブランド設計がうまくいったということですので、むしろ真似されるレベルを目指すぐらいの気持ちがあってもいいです。

だから今がチャンス

自分がECの業界で仕事をはじめたのは2002年頃の黎明期で、楽天もたしかまだ5,000店舗くらいのころだったのですが、そのころは今のように個人がECをやれるような時代どころか、情報も錯綜していました。構築や運営のために投資してもぜんぜん効果が現れなかった、というような時代なので、損をしたり時間をたくさん使ってしまった店舗もあったようです。

いまはECの情報も、成功例(失敗例)も、構築するための環境も整ってきていますから個人事業主にとってとても良い時代です。

どんな大きな会社でも失敗することもあれば、小さな個人ECが成功することもあります。

はっきりいって成功の法則はありません。実行力があり、フットワークの軽い個人は成功に近づき、ECをはじめるにはとても適した時代です。チャンスが訪れていますのでスピード感をもってぜひ行動に移してみてください。


ECに関する講座や、その場でショップを立ち上げる構築講座なども行なっていますので、ぜひチェックして見てください。

ストアカ

三田村 妙子

EC歴18年社長が教えるネットショップ講座