【お金を無駄にしない3つの考え方】ECを始める前に知っておきたい #2

わたしはECのシステム会社で働いていて、そのあと実際に自分のECサイトの運営をしていました。トータルで18年かけて出た結論をここで率直にお話したいと思います。

おそらくこれを知ってるのと知らないのとでは、年間にして数百万、という単位での損失もしくは利益の差が出てしまうんじゃないかと思います。

1 小さくはじめて大きく育てる
2 いま大手企業より個人が有利
3 商品を売ってはいけない

1 小さくはじめて大きく育てる

結論から言うと、立ち上げのときに何かとお金をかけすぎないと言うことです。こんなことに陥ります。

お金がかかる

取り戻そうと必死になる

結果売れない


A お金がかかる

わたしが会社でECのマーケティングチームで仕事をしていた15年くらい前のころですが、ショップの方から、現状のサイトが全く売れていないという問い合わせがありました。

そういった方からよく聞くと、ショップ制作費用と、あとはモールなどのプラットフォームに出店するなど、数ヶ月分を一括で支払ったりするので、+20万から30万、トータルでやはり100万前後はかかってる方が多い印象です。

さらに、準備期間に数ヶ月、制作期間にまた数ヶ月と、時間をかけたりするのですが、時間はイコールコストでもあるので、実際にプラットフォームに支払う金額以外にこれらの制作コストを膨大にかけたりされているということですね。でも、実際にスタートさせて蓋を開けると1年後に全く売れていないという話を今でもよく聞きます。

この状況って、今も昔も全く変わっていないなあという率直に思うところです。

うまくいかない原因は何か、当時からずっと考えていたのですが、ショップを立ち上げようとするときに、どういうイメージでどういう雰囲気でつくろうかな?と外見ばかりに目を向ける方が多いということです。たしかに、ショップのイメージや外観など考えるのは楽しいですし、わかりやすいところなのですが、初心者が陥りやすいことなんですよね。

そして考えた結果、コンサルティング費用をいただくプランができてから、売上が向上する店舗が増えました。ショップオーナーと一緒に改善をして積み上げていくという方向に向かったということです。

ちなみに、ショップの外観を考えるって、かなり深いことなので。続けてちょっとご説明します。


B お金を取り戻そうと必死になりすぎる

一旦きれいなECサイトができあがりました。ただ、外見も大事ではあるんですが、先に必要なのは、運営プロモーションを考えることです。

実は、ECサイトは、よほど予算の責任が生じている大規模ショップでない限り、立ち上げ準備に半年や数ヶ月かけて考えても無駄なことが多いです。

なぜかというと、はじめたばかりのころは、想定外なことが起こったりします。梱包や配送だけでなく、サポート業務や処理すべきことがたくさんあります。運営しながら考える。のがベターです。

お客様が集まらない!ということで、焦って外観を変えようとしたり、無駄な広告をかけてしまったり、大事なことに目を向けられず、カラ回ることが多いんですよね。


C 結果売れない

カラ回ったり必死さが出てくるとどうしても営業臭い部分が見えたり、お客様にとって「売りつけられてる感」が見え隠れするので、それだけは避けるべきです。当然売れないという話になっちゃいます。

訪れる人にとって使いやすいサイトにしていく、それをトータルで考えられるかがデザインなので、ショップの見た目を整えることだけではないんです。

スタートしたあと、やることはたくさんあるので、まずはすぐに立ち上げて、そのあとお客さまからどうやって関心を寄せられるかに時間や労力をかける。分析もしつつ、改善しながら考えていくこと自体が本質的で、結果的に外観を整えることにつながります。

つまり、

立ち上げはシンプルに、そのあとのプロモーションに総力をあげる

これが大事と言うことです。そしたら、どうするのがいいのか次に説明します。

2 個人に有利な時代

個人が武器になるのは次の2つです。

SNS
機動力とフットワーク

個人事業主もSNSを武器にした宣伝ができる時代になったということです。すごくいい時代になったなと思います。

いま誰でも何かしらのSNSは持っていますよね。LINEはほぼみんな持っていると思いますし、インスタやFacebookなど、とにかく個人が発信できるツールはとってもたくさんあります。

つまり、個人が個人へのコンタクトがとりやすくなったということです。

昔はECサイトを宣伝しようとすると、広告でした。そうすると、潤沢な予算があって、広告費が払える企業しか人を集められず、個人ではなかなか売上をあげることが難しかったのです。

ここ数年でSNSが広がったことで、個人も対等にプロモーション活動することができるようになりました。むしろ大企業を超える影響力すら起こすこともありえます

個人だと何が有利かというと、機動力(何かやろうと思ったとき、すぐに行動に移すこと)があるということです。これは大企業だと上司に稟議を通すための資料作成とか、許可を得ないといけないなど、企画から実行までとにかく工程があって大変ですよね。すぐに実行に移せる、「フットワークが軽い」というのは個人事業の特権です。

商品の宣伝のために、撮影をして、加工してインスタにアップする、ストーリーズにあげる、などすぐにできますし、新鮮でタイムリーな情報を届けられて、よりファンと密なコミュニケーションをとることができます。プロモーションがうまくいくコツでもあります。

3 商品を売ってはいけない

これだけ聞くとなんだ?という感じだと思うんですが、結論から言うと、「商品を売るのではなく、体験を売る」ということです。

いま欲しいものを買いたいとき、Google検索したら出てこない商品はほぼないと言ってもいいです。たくさんいいものが溢れていると言うことです。

逆に言うと、それだけたくさんの商品がある中で、この商品がほしい、となる決定打になるのは何でしょう?

「値段」「品質」「口コミ」

たしかにその全てを比較されて、購入に結びつくのはあっているのですが、それだと品質が均一になってくると、価格競争に巻き込まれることは必至です。

利益が取れなくなったら意味がないです。

わたしの運営していたファッションECサイトの場合、お客様がたとえば「仕事で着ていくための服がほしいけど、毎日同じような服ばかりでしっくりこない。」という悩みがあったとします。ファッションはそれこそ世の中にたくさんおしゃれで品質の良いものが溢れていますし、スタイリングなど迷うと思います。

安くておしゃれなものであれば、ファストファッションが流行しましたので、巷では実際ZARAとかH&Mとか、買いに行けばすぐに手に入りますよね。

でも、わたしのECサイトでもだいたい同じくらいの価格のファストファッションでしたが売れていました。トータルで1億円以上はサイトだけで販売しているのですが、私の場合、コーディネートを売りにしていたんですね。

ワードローブ10選 – UNCLACK

お客様に、”1ヶ月これさえあれば完璧。仕事の着まわしコーデ” などを提案したり、SNSに掲載したりしていました。

毎日発信していったコーディネートのSNSを中心にフォロワーが3.5万人ほどいました。ほとんどがSNS経由で売れていたのですが、コーディネートをみて、インスピレーションを得て、購入するという過程を踏んでいるかたがアクセス解析をみても多かったです。

差別化のポイントが、デザイン性だったり、素材だったりというのは、もうZARAでいいよね、ってなると思うのですが、コーディネートはその発信者の個性で、言葉で作ったものであって、コンテンツなので、それを気に入って買ってくれた方はそのあとも継続してSNSをチェックしてもらえる上に、とても好意的なファンになってもらえます。

コンテンツ力を武器に

これが重要なポイントです。

あと、冒頭でお話したように、売上を追うほど焦って売れなくなるという現象があるのですが、それはコンテンツ力を武器にすると心配が減ります。

なぜかというと、コンテンツは広告と違い、ストックされるものだからです。ブログやSNS、自分の言葉で書いたものはずっと残りますから、それを見た方が定期的に訪れることになりますし、たとえばインスタグラムやTwitterなどでいいねやフォローしてくれた方は、フォロー外さない限りずっとそのあともファンであり続けます。

こちらからコンタクトを取りやすくなり、広告に頼らなくても商品が売れるようになります。支払いが先に発生して、それを取り戻すために必死になるということが少なくなるということですね。

以上、お客様がなにをポイントに買うかという自分の例も踏まえたお話でした。

購入するとどう自分が変わるんだろう?ライフスタイルに変化を起こせるイメージだったり、何かを悩んでいるお客様に対して、どれだけ解決をしてあげられるか、という提案力が強みになるなのかな。と思っています。

実際の言葉って強みなんですよね。

店長さんが商品を作ったり仕入れたり、なぜそれを販売することになったのか、という経緯やストーリーはそのままショップの魅力になります


わたしのおすすめで、このことについても書かれてた本がありましたので、ちょっと最後にご紹介します。ECというよりは未来の小売としての概念的なことを知るのにはいいかもしれないです。

2025年、人は「買い物」をしなくなる
ちょっと衝撃的なタイトルですが、“小売・メーカー・ECで今まさに起きているイノベーションを伝えつつ、「およそ5年後の近未来」を予測”とAmazonの記載にもあるように、デジタル化が進むことで起きている変化についてわかりやすく解説されています。

D2C
いま一度は聞いたとがあるのでないでしょうか?D2C(ダイレクト トゥ コンシューマー)といういみですが、「ストーリーテリング」×「テクノロジードリブン」という概念をまとめた著書。SNSやコンテンツを武器にすることの重要性などが書かれているのでぜひ。